■ ゆきわりそう二十周年記念
「今、私たち二十一世紀の平和のために歌う」
一大成功裡に終わる
2006.5.6 in 東京芸術劇場

本番前の楽屋は緊張と興奮と、そして静かな静寂に包まれていました。
当日は最近ではめずらしくお天気でした。
1999枚のチケットは一週間前に完売となり会場は予定通り満席。
老いも若きも障害がある人もない人も座席を占める全ての人の期待に応えなければ!と心が引き締まるのでした。
当初は7つの合唱団のジョイントでしたが、新潟、青森、宮城と加わり正確に言えば10のチームがステージに立つことになりました。
第1回目の全体レッスン(芸術劇場大リハーサル室)、第2回目のオペラシティリハーサル室でのリハーサルと当日のリハーサル、3回の合同練習を無事終え、いよいよ本番。会場の広さとクラッシックなたたずまいに飲み込まれそうな緊張の中で本番はスタートしました。
和太鼓の演奏、リハーサルの時とはちょっと心配なところが本番では全部クリア。
東京フィルハーモニー交響楽団と和太鼓教室の演奏が終ると、大きな拍手とかけ声が。鳥肌が立ち涙があふれて!と多くの方々が驚きを語って下さるほどの出来栄え!指導の高橋先生のチームの長いご苦労はいかばかりであっただろうと思わず拍手に力がこもります。
新田光信先生が創生された「第五パート」を持つ全国規模の1年取り組んだ合唱団の演奏は、言葉では言いつくせないほどの素晴らしい出来栄えでした。
八丈島のちょんこめ作業所の第九への挑戦の中で「一度本物の舞台に立ちたい」という願いを「それでは是非実現しましょう」が出発点となり、今日を迎えました。その達成感に輝く一人一人の様子は心に残るでしょう。

さあ、いよいよ本番です。
今回のコンサートを機会に聴覚に障害のあるNさんと共に、大阪のふれあいサークル(手話を使った第九)に参加した西尾さんは、八丈島で始まった手話教室でこの手話による第九をやるのだと!
群馬県のすてっぷは1年で第九をマスターし、新しい分野を切り拓くチャンスになりました。群馬でこれから第九をやるのだ!と意気高く宣言も間近らしい。
女性の家、いずみ寮の皆さんの多くは生まれて初めてのステージだとのこと。一生懸命の第九、命の第九に今日という日、心からの感動に染まっていらっしゃる。
52名で参加した京都の命輝け第九合唱団の皆さんは、サンライズに宿泊。上京した日も帰る日もぶどう色のスカーフを首にまいてオシャレな団体旅行でした。
ゆきわりそうの第1回目の東京文化会館の第九コンサートに出会った馬庭さんは京都もやるぞ!と決めてから今日までどんどんコンサートをふくらませて、今や中川先生(合唱指導)とチームを組み前進前進の17年を迎えています。
ふれあいサークル(手話隊)は第4楽章を聴覚障害のある方々にも伝えたいと工夫をこらした手話チーム9名で構成されているものです。演奏の振動で音を感じる音楽の意味は手話で伝えるというこのチームの手話に観客の目は釘付けになりました。
今から6年前ニューヨークカーネギーホールでのステージは指揮者に断られたため出演できず、国連本部のハマーショルド講堂で手話隊を中心とした第九を実施したのですが、その時の無念を乗り越え久しぶりに見るそのパフォーマンスともみえる手話隊の見事さに胸の中が熱くなりました。
唯一障害者のいない「赤とんぼ合唱団」は演奏2ヶ月くらい前からゆきわりそうの合唱団に加わりました。このような草の根の構成にはなかなかなじめなかったようです。「みんなで作るみんなの願い」という合言葉で始まったこの活動の意味があまり伝わっていなかったのかも知れません。
当日指揮者もソリスト男性全員が燕尾服を着ていらっしゃいました。「普段はこんなものは着ないのです、」とおっしゃる先生方は「ゆきわりそうの20周年だから」と。八丈島の百合づくりの名人西野さんから送られてきた花束は皆さんとても喜んで下さいました。
最後の打ち上げはささやかな飲み物とおつまみでしたが、湧き上がる感動と感謝は涙ながらの握手とあちこちで抱き合う仲間となった人の渦で一杯となりました。
東京フィルハーモニーの皆様の全力投球の演奏にテノールソリストの湯川先生は「今日のオケにはビビったなあ」と、指揮者の佐藤先生は「こんなコンサートは何年ぶりだったかなあ」と、オーケストラの榑松さんは「このコンサートに私たちを参加させてくれてありがとう」と。和太鼓を叩いたみんなの心に4楽章を生命の限り歌った合唱団の一人一人の胸にオーケストラに全身を傾けた音楽家たちにそして今日参加された皆様に輝く命の光がさしこんだと思います。

大合唱団とオーケストラの魂の共演は、満席となった客席を感動の波動で満たしました。
風のように会場を吹きぬけた「人々は皆兄弟になろう」の思いは世界中に届いたような気もします。今回のコンサートはゆきわりそう20周年にふさわしい記念碑として長くゆきわりそうの歴史に残るものになりました。
(姥山寛代)
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