詩歌「ある日海に教えてもらった」

姥山寛代の詩歌

・ある日海に教えてもらった―八丈島にて― (2004年10月2日)

八丈島の平和のためのコンサート成功!
あらためて皆様のがんばりに、万感の思いをこめてお祝い申し上げます

小さな一滴の水が川に流れ込み、
海に注ぐという言葉に重なる思いがするほど感じるものが多いコンサートでした。

私は再び「人」について「地球の今」について考えました。
全力で生きようという励ましと勇気をいただきました。

拙作ですが今の思いをつづりお届けいたします。

「ある日、海に教えてもらった」

果てしなく拡がる海を眺めていた

海の表皮は 百の色に輝き風や雲や太陽の光で
時々刻々と姿を変える

寄せては返す波の音は私に語りかける
この波の奥にある神秘な世界に思いをはせてごらんよ

地球はどんな歴史を持ってどんな育ち方をしたのか
人類はどんな歴史を持ってどんな育ち方をしたのか

海は何でも知っているよ
海の深さと人の心の深層は兄弟なのだよ

海をいじめてはいませんか
人をいじめてはいませんか

海が泣いているよ
人が泣いているよ

波のささやきに耳を傾けている
あの人のこと この人のこと
あんなこと こんなこと そして今の自分のこと

真夜中にしんしんと雪のように降り積もる悔い
私の頬に涙が一筋 二筋
無力にさいなまれ 絶望的な悲哀の涙だ

みわたす限りの海は 雄然と輝き
思いを風に託しながら いつまでも私に語り続ける

ふと気付いた
海のように雄然よ輝いていればいいのだ
波のようにずっと思っていることを
風に託して語り続けていればいいのだ

人の心は風
人の心はたくましい風
そのささやきと語りを こよなく信じることだ

私にできる
私のやり方で良いから
その風をこよなく信じることだ

海は夕暮れ 地平線に陽が沈む
海に教えてもらったことをかみしめながら 空をみあげた
小さな星が輝いていた

2004年10月2日
八丈島にて 寛代