プール教室から

プール教室の近況報告

2016年2月から、東京都障害者総合スポーツセンターの改修工事がスタートし、2018年6月をもって終了しました。

この間、さまざまなプールで活動し、一般のプールでの活動が難しいと思われる元気なメンバーは、国立にある多摩障害者総合スポーツセンターまで1年間通っていただきました。プールの活動は、身体を動かし、指示を聞き繰り返すことで「できた」を実感できる貴重な時間です。さまざまな方々の協力をいただき、1年半途切れることなく活動を継続することができました。ご協力いただきました皆様、ありがとうございました。

また、公共の場所で障害を持った方々が活動することは、まだまだ、大きくて見えない壁があることも実感することができました。この壁は、活動を続けていくことで、いつか乗り越えることができると信じて、活動を続けることも大きな意義のあるとであると実感いたしました。

残念ながらこの1年半でプールでの活動を断念してしまった人もいます。7月からは、今までどおり障害者総合スポーツセンターでの活動に戻りました。チャンスがあれば、また活動を再開できるといいですね。

記/姥山剛


プログラムについて
ADL向上とQOLにつながる、楽しいプログラムを心がけています

泳法の習得はプールプログラムの大きな喜びです。習得過程で得られる達成感の積み上げは更なる向上心の涵養に繋がります。また一度習得した水泳技法は一生を通して楽しめる運動となります。

しかし、泳ぎ方を身につけることだけがプールプログラムの唯一の目的ではありません。
水環境下での運動を通して、マッピングやボディイメージの向上をはかり身体意識を高めたり、身体バランスを強化したりといったフィジカル面のベネフィットはもとより、プログラムの中での成功体験の積み上げや自己肯定感の向上は発達におけるポジティブな支柱となります。

「具体的にプールプログラムでは泳ぐ以外に何を行うのですか?」という質問をよく受けますが、メンバーの数だけプログラムがあります、とお答えしています。
メンバーそれぞれのアセスメントを基にその人の発達支援となる課題やドリルやプログラムを組み合わせ、また発達の進捗に合わせて内容を修正したり、見直すこともあります。必要であればプールプログラムに言語療法的な課題を持ち込んだり、作業療法的メソッドや感覚統合のアプローチを応用することもあります。またリラクゼーションやヒーリング的な静的時間を作ることもあります。

安全安心を大前提としながら「この課題はメンバーのADL向上にどう寄与するのか、QOLに繋がるのか?楽しい時間となっているか?講師の独りよがりのパターナリズムに陥っていないか?」などの問いかけを常に意識しながらコーチングしますが、そこで新たな発見や可能性に気づかせ学ばせてくれるのもメンバーです。メンバーとともに作り上げ進化し続けるプログラム、と言えるかも知れません。

記/非常勤講師 山村雅康