渡辺英明くん奇跡の生還 命輝け その2

渡辺英明くん奇跡の生還 命輝け その2

「今日も元気!明日も元気!」

ゆきわりそうアットホームに戻ってきて、間もなく5ヶ月になる。当初は、3~4日に一度、病院に電話を入れてアドバイスをもらったり、相談したりしながらのケアであった。しかし、2ヶ月程でスタッフにも余裕がみられるようになり、本人も〝ホッ!〟と一安心。血圧が上がりすぎる事が全くなくなった。まさに、安心できる生活の場になったのではないだろうか。

2週間に一度の定期受診では何度か個別に呼び出され、担当医から「吸引はしっかり出来ているのか?」「本当にゆきわりそうでやってゆけるのか?」など、こちらの看護・介護体制やスタッフの疲労等を心配される質問が投げかけられた。お姉様とは連携が取れており、出来る限りゆきわりそうで生活させたい。ということが本人含めての希望であったので、担当医にもご理解いただき、今までと変わらない協力睡蓮の花をしていただく様お願いする。

現在、毎週金曜日に訪問看護ステーションから看護師が派遣されている。この日は待ちに待った入浴日であり、スタッフにとっても、日ごろの悩みや質問事項を確認できる貴重な1日となっている。時には厳しく様々な指摘をしてくださり、彼の全身チェックと同時に医療素人(しろうと)である私たちスタッフのチェックも行われている。他にも顧問医の定期的な往診等、彼を支える多くのマンパワーによって、退院してから今まで風邪ひとつひかず、熱を上げることなく安定した生活を送ることができている。
まれに吸引時、痰に血液が混じる事もあるが大事には至らず、最近の定期受診では血液検査の数値も良く、痰の量も減ってきている等、担当医からは「全体状況も良く、体力もついてきている。良く頑張っているネ!」と大変嬉しいお言葉をいただいた。

5月のゴールデンウィークには皆で哲学堂へ、お花見ピクニックに出かけた。また、以前通っていた新宿区のあゆみの家へ遊びに行くなど、外出の機会も多くなってきた。彼の部屋には大好きな和太鼓とピアノ(クラビノーバ)を置き、ピアノ科に入塾。毎週金曜日にピアノの個人レッスンを受けている。休日には、仲間と演奏会をするなど、もはや病人の生活とは思えない。

「病は気から……」の言葉通り、生きる気力は病を倒し、前を向き続けている。痰の量が減ってくれば、「口からの飲食」という次の目標を掲げる事ができる。再び奇跡を起こす日が、もうすぐそこまでやって来ているように感じてならない。
今日は、ゆきわりそう22回目の誕生日。昨年は入院中であった彼が、今年はここにいる。共に、この日を祝う事ができて本当に嬉しかった…。

記 北原勢