夢みる館1号館から

世の中が、たったひとつのウィルスで驚くべき変容を遂げたと言うのに季節はかわらず巡ります。
昨年、ゆきわりそうの行事と言う行事はすべて中止になってしまいました。
そんな中、行事で一年の生活を組み立てているといっても過言でないグループホームのメンバーは混乱と言うより呆然とする毎日を送っている様子でした。家族との面会は最小限。外出や買い物も制限があり楽しみにしている教室や合宿も中止になりました。
唯一、夏にやってくる各大学からの実習生の来訪だけがいつもの日常を感じさせる出来事だったのではないでしょうか。

帰宅外出のままならないグループホームのメンバーに私達はお休みの日に何をするか様々な制限の中で何が出来るのか色々考えました。
人混みを避けての外出。
おやつを持って風の樹ビルの屋上で小さなピクニック。晴れていれば富士山が見えるしスカイツリーや東京タワー、サンシャイン60に新宿のビル郡も観覧できる秘密の絶景スポットです。
電車好きのメンバーは真下に見える西武池袋線の電車をじっと眺めていつになったら以前のように自由に電車に乗って外出出来るだろうと思いを馳せていました。
少人数でのマラソンやウォーキングに行って運動不足の解消に取り組んだメンバーも、猛暑や台風の為に外出もままならない日には、おやつに夏祭り気分を味わおうと、たこ焼きやお好み焼きかき氷をつくって楽しみました。
でも、何よりもみんなの心を慰めたのはゆきわりそうの沢山の記録映像の数々だったように思います。
群馬に行って温泉に入ったりしていたね。
島に行って海で泳いでバーベキュー楽しかったね。
日帰りバス旅行今年はどこに行くのかな?実際、1人の男性は日帰りプログラムの予定日にお出かけの準備をして襟付きのシャツを着て起きてきて世話人を困らせた日もありました。

楽しみにしていた沢山の事が過去の映像を見る事で少しだけ受け入れがたい現実を忘れさせてくれました。
この先、どれほどの期間我慢をしなければならないのか、新しい生活様式の中で当たり前の普通の生活を暮らす難しさを漠然と感じながら過ごす日々です。
毎日の感染者数を告げるニュースに、一喜一憂し、ワクチンの完成を願い世界中の人類が多分同じことを願っている今だからこそ、出来る事を探して丁寧に日常を送っていきたいと思います。

冨田 恵