乗馬プログラム参加に当たり

障害者乗馬の概要と効果 

 現在、世界における「乗馬療法」の概念は、治療的効用を求めて用いる3つの応用分野の総称として用いられています。それに次ぐ4つ目としてすでに多くの専門家が実践している心理的療法乗馬がありますが、これはまだ理論的に確立されていません。

 応用分野の第一は、馬の運動作用を利用しておこなう「ヒポセラピー」です。セッションは理学・作業療法士の中でも特別な勉強を行ったヒポセラピストが行い、障害者は騎乗者ではなく患者として位置づけられます。

 第二は、馬に乗る喜びを通じ、身体的、精神的な発達や社会性の体得を目的とした「セラピューティック・ライディング」です。セッションは特別な勉強をした乗馬インストラクターが行い、理学・作業療法士や特殊教育の専門家が支援します。 

 第三は、「スポーツ&レクリエーション」としての乗馬です。余暇活動から競技スポーツまで幅広い運動であり、セッションは乗馬インストラクターが行います。これは乗馬技術の習得が主目的で、自立した騎乗者を目指します。また、スポーツレクリエーションを通じ、障害による運動不足や行為障害、二次障害を予防することに力点が置かれています。

乗馬プログラムでの取り組み

 乗馬プログラムでは、セラピューティック・ライディングとスポーツレクリエーションとしての乗馬に取り組んでいます。
 対話なくして馬との真の信頼関係は生まれません。近寄った時からお互いの関係が始まります。 人と馬は、身体と馬体による非言語的コミュニケーションによって関係を築く事が可能です。それは、障害者のある方も同様です。そしてこれが徐々に、他者との交流やコミュニケーションを行う上での自信につながります。
 また騎乗して馬の多次元的な動きを体験することにより、知覚・視覚・聴覚・臭覚・触覚を刺激し、固まってしまっていた運動、行動パターンを解くことができます。 さらに、騎乗者は馬の動きに随伴しないと調和の取れた運動感覚が得られないため、馬のリズムに合わせ、自身の動きを調整することが求められます。この調整がなめらかであるほど両者の関係は強まり、人馬一体となることができます。人馬一体となることで持続する勇気と動機付けが生まれ、他の目的を達成する可能性が増えます。

 乗馬プログラムでは、乗馬を通じこの可能性を最大限に引き出すプログラム作りを心がけています。