■ゆきわりそう20周年記念に寄せて
賛助会の皆様へ

                 姥山寛代
今から2年前、賛助会員の皆様にお届けした「タイル募金」のパンフレットでお知らせした20周年記念事業は本年10月には7つの映像が完成を予定していて、後は20周年記念館を残すのみとなりました。

ゆきわりそうは20周年記念事業の中、心痛む出来事に出合いました。
2007年1月27日未明、宿泊されていたK・Eさん(24才)が呼吸不全になられて、救急車で移送、病院でご逝去された件です。
ご家族もゆきわりそうも、今でも悲しみと苦悩のるつぼの中にあります。
ゆきわりそうのニュースで賛助会員さんにお伝えすることにK・Eさんのご家族からご辞退がありましたので、10日間に分けて300人の方々にご報告をしました。
各行政機関への報告と調査においてはありのままの状況を誠実にお伝えしてきました。一番心痛むのは、未だご家族の方々と心の交流がもてないことです。
あんなにゆきわりそうが好きだったK・Eさん。あんなにいつも喜んでくださったお母さんにこんな悲しみと苦しみを与えなければならなかった事に、私たちはどう対応したらよいのだろうかと考え続けています。

20周年記念事業の中でこの件はゆきわりそうのあり方に大きな指針を与えました。今後、絶対にこのような事が起きる事はないだろうかと考えるとき「絶対」という事はないのかもしれないが全力を尽くして絶対を目指し最大の努力をしなければならないということです。
ゆきわりそうはこの間、次のような整備と思考の中にいます。

1. カルテADLの整備、緊急連絡網整備。(完了)
2. ゆきわりそうグループのマニュアル制作中。(10月完成の予定)
3. 利用の記録を3枚複写とし、1枚は利用表に貼る、1枚はご家族に、1枚はカルテに貼る。(完了)
4. 各部署に「パルスオキシメーター(酸素量計測器)」、「AED(心臓機能復活機)」、「吸引器」、「血圧計」を設置。(完了)
5. 日々のバイタルチェックを徹底する。
6. 理事の中に2人の医師方に加わっていただいた。
7. 20周年記念館を実現する。安全な建物を建てる。宿泊するところにモニターを設置する。(2009年完成予定)
8. 全てが完成するまでは、当面新しい賛助会員さんは受け入れない。
ショートスティ以外のゆきわりそう自費宿泊を中止する。
緊急利用を必要とする方々については、必ず全情報を把握し行政区ならびにご家族と密なる相談をしながら、部長会議の決定を経て利用をお受けする。
9. K・Eさんのことを機に「共に生きる」という理念を更に深め高める。発足した障害を持つ人々の家族会「みんなで一歩会」と連携しノーマライゼーションを具現化することに努める。
10. 施設の運用と設備の両面で今のゆきわりそうの力で出来ることを実現させていく事をK・Eさんとその家族にご理解いただけるように全力をあげる。

私たちは、20周年記念事業の最中に起こったK・Eさんの件を、ゆきわりそうに課せられた試練として受け止めています。私たちは、安全で高度なサービスを提供できるゆきわりそうへ発展させなければなりません。

神様は身も心も細まるような苦悩を私たちに与えました。ゆきわりそうなら多くの障害者たちと共に、きっと成し遂げなければならない事を成就する知恵と力を出せると、お考えになっているのでしょうか。

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夜道を歩きながら帰宅するとき、私はよく空を見上げます。
月が大きく、丸く光る夜もあれば、雲に隠れている夜もあります。
夜空を見ながら時として、私は運命論者のようになります。
自分は全く知らない、考えてもいない道が定められていて、私はただそこを歩いているだけなのだと。
そう感じると納得するほど出合う人、出合う事件の一つ一つに不思議を感じることが多いのです。
ゆきわりそうに関わるたくさんの人達と共にこの道を淡々と歩いていればいいのだと考えます。

良い事も悪い事もたくさんあると思いますが、20周年記念事業は必ず大きな成功をするように決まっているのだ、私は不思議な世界の中を歩いている単なる旅人なのだと思えばいいのだ。
そんな時、ふと悲しみや苦悩はやわらかい風のようになって私を包み込んでくれます。
そしていつかK・Eさんのご霊前にご家族とご一緒に報告できたらどんなにか嬉しくありがたい事だろうと思います。それもまた神のみぞ知りたもうという事かも知れません。

20周年記念事業の最終までは、ゆきわりそう一同何としても元気でいなければならないと思っています。
ゆきわりそうと歩んできた皆様、どうぞご支援の程、よろしくお願いします。

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